登山家の栗城史多氏に助けられた
小学生の頃、大阪の金剛山に(たった)50回位登ったのが自慢でした、ヤマシュウです。
昨日NHKで登山家の故栗城史多氏のドキュメンタリー番組があった。
「単独・無酸素」でエベレスト登頂にチャレンジしていたが、
昨年5月のエベレスト登山中に滑落事故で命を落とした。
その無謀なチャレンジにSNSでの批判的なコメントは多く、
専門家からも疑問視された意見も多かった。
人がどう評価するかは自由である。
ただし、栗城さんは今の自分にとって大きな存在で、
彼のエベレストへの挑戦と「冒険の共有」がきっかけで今の自分がいる。
彼の存在を知ったのは怪我をしてすぐに運ばれた
急性期病院のベッド上で観たドキュメンタリー番組だ。
当時、寝たきりで首しか動かせなかった僕の目に飛び込んできたのは、
エベレスト登頂を独りで自撮りしながら登る彼の姿だ。
初めてみたエベレスト登山の情景に、
この時は何となく「凄いなぁ」くらいの感じで終わっていた。
それから1年位経って、再び彼のドキュメンタリー番組があった。
この時の自分は少しずつリハビリはしてたものの、
まだ一人で外に出ることも出来ず、
また慢性的に起こる指先から肩までの強烈なシビレに悩まされ、
このまま社会に復帰できるのかどうか不安しかなった。
初めて見た時と違って、この2回目のドキュメンタリーを見た時は、
画面に映る彼の「生きる力」に強烈な印象を受けた。
彼の挑戦するのは「デスゾーン」と呼ばれる過酷な場所。
8,000mを超えると酸素濃度は通常の3分の1、
氷点下20〜30℃で猛烈な吹雪に襲われたり、
危険な雪崩やクレバスと呼ばれる深い割れ目など、
生物の存在が許されない聖域だ。
ここで孤軍奮闘する栗城氏の姿は、
不安で弱り切っていた自分に「勇気」を与えてくれた。
たかがシビレや車椅子で外に出ることに躊躇してる
自分が情けなくなった。
それから彼の動画を見たり書籍を読んで、
少しずつだが勇気を持って行動に移すことができる様になった。
そんな彼が登頂中でひどい凍傷で、
指を9本失うことになった。
今度は自分が何か出来ないか?
とにかく会って話をして、
頑張って欲しいと伝えたくなり、
たまたま開催された講演会に参加して、
会が終わってから彼に話しかけるチャンスを見つけた。
お互い苦しいけど乗り越えて、
色々とチャレンジしようという会話を交わした。
何も出来なかった自分に行動する勇気をくれた。
彼がいなかったら今の自分は無かったかもしれない。
今でも亡くなった事は信じられないが、
彼の求めた「冒険の共有」をこれからの自分の人生に生かして、
彼の分まで強く生きていこうと思う。